| 4H-SiC デバイス特性に影響を与える結晶欠陥の構造解析及び生成メカニズムの解明 |
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利用者氏名:恩田正一
所属:基礎研究所 部長
利用施設名:名古屋大学、エコトピア科学研究所、超高圧電子顕微鏡施設
利用期間:平成19年11月15日から平成21年11月14日
利用の目的・内容:ワイドギャップ半導体の一つであるSiC の品質向上技術が、SiC の実用化に必須である。転位や積層欠陥などの結晶欠陥の発生メカニズム、そのデバイスへの影響を理解することを目的とする。内容として、結晶成長に伴う欠陥の構造変化解析、不良が生じたデバイスに影響を与えている欠陥の種類、構造を明らかにする。
成果の概要:SiC 単結晶ウェハ中に存在する転位はデバイス特性に影響を与えるので、転位を低減するためには転位構造を解明することや転位のエピタキシャル膜への引き継ぎの様子を明らかにすることが重要である。転位は従来、X線トポグラフィにより解析されていたが、空間分解能が悪く微細領域の解析ができなかった。本研究では、超高圧電子顕微鏡(H-1250ST)を用いたウィークビーム法により、SiC 中の転位を高分解能で観察することに成功した。
SiC 中の転位解析では以下のことが明らかとなった。
(1) SiC をKOH 処理すると、異なる形状のエッチピットが形成される。エッチピット形状の違いにより、その下に形成される転位の種類が貫通刃状転位、貫通らせん転位に区別できることを明らかにした。
(2) 貫通らせん転位は2 本の部分転位に分解していることが分かった。
(3) エピ膜/基板界面の観察では転位の角度が変化し、エピ膜中では特定の方向に形成されることが明らかとなった。
(4) 欠陥のデバイスへの影響を調査した結果、貫通らせん転位は初期特性や、酸化膜の信頼性に大きく影響することが分かった。
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SiC デバイスの特性は、エピタキシャル膜中に存在する転位に影響されるため、転位の種類、構造を明らかにし、電気特性との関係を明確化することが必要である。また、エピ膜の転位の大部分は基板の転位から引き継がれるので1)、エピ膜/基板界面における転位の継承状態を知ることは、エピ膜の転位を制御する上で重要となる。本研究では、超高圧TEM により下記項目について解析した。
(1)エッチピット形状と転位種類の関係
(2)貫通らせん転位の構造
(3)エピ膜/基板界面において転位が引き継ぐ様子
(4)電気特性に影響する転位の特定 |
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| 4H-SiC <11-20> 4度オフ基板上にCVD により厚さ10μm 以下のエピ膜を成長させた。TEM 観察試料はエッチピット中心の芯を目印にしてFIB により厚さ1μm、深さ15μmに加工した。転位の観察は1000kV の超高圧TEM を用いたウィークビーム法により行い、転位線の方向と歪の方向を解析した。 |
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(1) エッチピット形状と転位種類の関係
図1、図2にそれぞれ小ピット、中ピットの下に形成されている転位を超高圧TEM 観察した結果を示す。図1においては、g=11-20 では転位コントラストが観察されるが、g=0004では消えるため歪みの方向がa 軸方向であることが分かり、貫通刃状転位であると同定された。図2においては、励起回折波がg=11-20 では転位コントラストが弱く観察されるが、g=0004 で強く観察されるため歪みの方向がc軸方向であることが分かり、貫通らせん転位であると同定された。しかし、図2の転位はg=11-20 でも転位が弱く見えており、刃状成
分を含んだ転位であることが新たに分かった。 |
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(2) 貫通らせん転位の構造
図3にウィークビーム法による貫通らせん転位の超高圧TEM 像(g=0004)を示す。矢印で示すように太い線と細い線の2本の転位が観察された。g=000-4 で観察すると左右の太い線と細い線がg=0004 の場合と反対になることからこの貫通らせん転位は2 本の部分転位に分解していることが分かった。 |
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(3)エピ膜/基板界面において転位が引き継ぐ様子
図4に基板の貫通刃状転位がエピ膜に継承された様子を示す。基板の転位はc軸から21°オフ方向に傾いており、エピ膜では傾きが17°と減少した。複数の試料を観察した結果、基板の転位の傾きにはばらつきがあるが、エピ膜の転位はほぼ17°に揃うことを見出した。エピ成長初期のバッファー層では転位の傾きは25°であり本成長層とは異なる。傾き角度が揃う要因を結晶面指数から考察する。c軸から17°、25°傾いた面指数を考えると、(11-2-2)、(11-2-3)に相当する。これより、転位が形成される安定面が存在する可能性があると推定される。 |
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(4)電気特性に影響する転位の特定
デバイス特性へ影響する欠陥を特定するために、特性不良部をエミッション顕微鏡で特定した。その場所をTEM 観察することで転位の種類を同定した。その結果、初期特性や、酸化膜の信頼性に大きく影響する欠陥は貫通らせん転位であることが分かった。 |
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| 今後、エピ条件による転位の方向変換の仕方を明らかにし、転位を制御することが可能になれば、高品質のSiCウェハが製造できる。また、低減すべき欠陥の種類が明らかになりデバイス特性の向上が見込める。 |
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| 特許出願3件 |
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| 1)大野他、第50 回応用物理学関連連合講演会(2003.3),28p-ZB-1 |
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